MPS研究会 第7回学術集会 報告

筋筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では2011年5月28日 土曜日、29日 日曜日の両日、東京 錦糸町にて第7回 学術集会を開催しました。

5月28日 土曜日 学術講演

学術講演

学術講演

初日は『筋性疼痛の理解に向けて -筋痛モデル研究から見えたこと-』と題して、中部大学 生命健康科学部 理学療法学科 教授 水村 和枝 先生より、ご講演をいただきました。

この講演では「筋痛覚(侵害受容)系の特徴」、「遅発性筋痛モデルが筋・筋膜性疼痛のモデルになる事を示唆する実験結果」、「動物モデルからわかった遅発性筋痛のメカニズム」など、最新の研究状況について講演していただきました。

中部大学 教授 水村 和枝 先生

中部大学 教授 水村 和枝 先生

この講演を通して、筋性疼痛に関する最新の研究状況を理解できたと共に、基礎医学界において筋性疼痛の研究が活発に進んでいる事を認識しました。今後、筋筋膜性疼痛症候群(MPS) を含めた筋性疼痛の更なる解明を期待をする所存です。

尚、この講演は日本整形外科学会教育研修会の承認を受けて、専門医資格継続単位N-1(整形外科基礎科学)、N-8(神経・筋疾患(末梢神経を含む))のいずれか1単位を取得できる教育研修講演として行われました。

5月29日 日曜日 症例検討会

二日目は、会員による症例検討会が行われました。

手の骨間筋の治療経験 – 山下クリニック 院長 山下徳次郎 先生

山下クリニック 院長 山下徳次郎 先生

山下クリニック 院長 山下徳次郎 先生

最初の症例発表は、山下クリニック 院長 山下徳次郎 先生による「手の骨間筋の治療経験」です。

手の骨間筋に生じたトリガーポイントが引き起こす各種症状についての説明、実際の複数の症例について、時間経過を辿った発症経緯、治療内容、症状の状況などが詳細に発表がありました。

治療に難渋したとき ~慢性痛の病態診断への一考~ – 小林 只 先生

小林 只 先生

小林 只 先生

続く症例発表は、小林 只先生による「治療に難渋したとき ~慢性痛の病態診断への一考(認知-中枢-末梢)~」です。

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の治療反応が乏しい場合の原因分析、状況に応じた対処方法などについて、実際に基礎疾患との識別診断を行った症例や、慢性痛をモデル化して、それぞれの原因別に治療方法を分類する考え方などの発表がありました。

症例発表 – 加茂整形外科医院 院長 加茂 淳 先生

加茂整形外科医院 院長 加茂 淳 先生

加茂整形外科医院 院長 加茂 淳 先生

続く症例発表は、加茂整形外科医院 院長 加茂 淳 先生による症例発表です。

今回の発表の中では、通常の症例発表に加えて筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の治療を取り巻く周囲環境などに関する発表がありました。

スキマブロック – 木村ペインクリニック 院長 木村 裕明 先生

木村ペインクリニック 院長 木村 裕明 先生

木村ペインクリニック 院長
木村 裕明 先生

続く発表は、木村ペインクリニック 院長 木村 裕明 先生によるスキマブロックの説明です。

スキマブロックとは木村院長が考案した筋筋膜性疼痛症候群(MPS)に対する新しい神経ブロックである筋膜間ブロックの通称です。この治療方法は従来の硬膜外ブロックより安全性が高く、今まで以上に効果が期待できる治療方法で、発表の中では実際の治療状況を撮影したビデオ映像などを使い詳細の説明がありました。

尚、スキマブロックに関する詳細情報は『ペインクリニック Vol.31 No.4』を参照ください。

MPSにおける筋性硬結の超音波画像検出の試み – 小豆沢病院 外科 福本守男 先生

小豆沢病院 外科 福本守男 先生

小豆沢病院 外科 福本守男 先生

最後の発表は、福本 守男 先生による「MPSにおける筋性硬結の超音波画像検出の試み」です。

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)において、痛みの主要因であるトリガーポイントなど筋性硬結の位置を検出する研究において、超音波検査装置を用い画像検出する手法の研究結果発表がありました。

総括

今回の学術集会では、基礎医学と臨床医学の両面で色々な情報交換ができた事が、特に会員にとって非常に有益な物であったと感じています。

また、症例検討会は会を重ねるごとに、より高度な内容が議論されるようになってきており、各会員が持っている情報を水平展開する場としての役割が、会を重ねるごとに増しています。

今後も本研究会を通して、今回のような多面的な情報交換を行うことにより、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)のより詳細な原因、症状、治療方法の研究に寄与してゆく所存です。

ご多忙の中ご講演をいただきました 水村 和枝 先生、運営にご協力をいただいたビタカイン製薬様を始めとする、全ての関係者の方々へ、この場を使い感謝の意を表させていただきます。

筋筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では、今回のような学術集会を始めとする場で痛み、筋筋膜性疼痛症候群に対する理解を深め、治療技術の発展の為、共に研究を行う医師を募集しています。詳細は入会についてを参照願います。