筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では2016年6月18日土曜日、19日日曜日に東京 高田馬場にて第17回 学術集会を開催しました。
今回の学術集会は、メインテーマを『腰殿部痛の“発痛源評価の標準化”と治療技術交流による多職種連携を目指して』として開催されました。
最初のセッションは、よしだ整形外科クリニック院長 吉田眞一先生による基調講演『腰痛の発痛源を探る~仙腸関節性腰痛とその関連疼痛を中心に』からスタートとなります。
この基調講演では腰殿部痛の発痛源同定方法や仙腸関節障害に対する各種治療方法による効果の症例報告などがありました。
続くセッションは、首都大学東京大学院 理学療法科学域教授 竹井仁先生(理学療法士・医学博士・Fascial Manipulation国際インストラクター)の特別講演『筋膜に対する最新の知見と筋膜痛に対する筋膜マニピュレーション』が行われました。
この講演の中では、筋膜機能異常は,筋膜の高密度化・基質のゲル化・ヒアルロン酸の凝集化で生じること。その機能異常を解消する方法の一つにFascial Manipulation (筋膜マニピュレーション)があることなどが紹介され、実際に評価・治療のデモンストレーションが行われました。
二日目の司会は今回の学術集会副世話人のエムツー訪問看護ステーション仙台長町 山崎瞬 先生(理学療法士)となります。
二日目最初のセッションは弘前大学医学部附属病院 総合診療部, 金沢大学機能解剖学分野 小林 只 先生から、MPSに関する総括が行われました。
今回も、学術集会へ初参加となる多数の会員がおり、その先生方を主な対象にMPSの概念から最新のエコーを用いた治療や状況までの総括を行いました。
続いて以下4件の症例発表がありました。
最初の症例発表は、公立富岡総合病院 門脇 晋 先生による「癌性疼痛に対する筋膜リリースの効果」です。
この発表の中では、癌による疼痛の種類、これらの疼痛とMPSの関係やこれらに対してMPSの治療を行った結果などの発表がありました。
続く症例発表は、公立富岡総合病院 化学療法室 新行内 亮 先生による「化学療法中の患者の痛み・しびれ対策の現状」です。
この発表の中では、薬剤師の観点で抗がん剤の副作用として知られている末梢神経障害、筋肉痛・関節痛に対し、医師と連携をして筋膜リリース治療を行った治療結果の症例報告がありました。
続く症例発表は、名古屋徳州会病院リハビリテーション科 木村 陽志先生による「口腔顔面疼痛とリハビリテーション」です。
この発表の中では、1990年代後半から認識されつつある口腔顔面疼痛の紹介、これらの痛みに対してMPSの観点で運動療法を実施した場合の症例報告がありました。
最後の症例発表は、 木村ペインクリニック 木村 裕明 院長による「関節周囲のFasciaリリース」です。
この発表の中では、血管と神経の関係に着目をして、血管周辺に対して筋膜リリースをした場合の症例報告がありました。
二日目の最後のセッションは「腰殿部痛に対する発痛源評価(臨床的触診を含む)&エコー実技」となります
銭田治療院千種駅前 銭田良博 先生 と エムツー訪問看護ステーション仙台長町 山崎瞬 先生を中心に、腰殿部痛に対する発痛源評価とエコー実技を題材として実施されました。
今回の学術集会では、メインテーマ『腰殿部痛の“発痛源評価の標準化”と治療技術交流による多職種連携を目指して』の通り、腰殿部痛に着目した発痛源評価に関する標準化について、職種を越えて深い議論をすることができました。
今後も本研究会を通して、今回のようにより深い情報交換を行うことにより、筋膜性疼痛症候群(MPS)のより詳細な原因、症状、治療方法の研究に寄与してゆく所存です。
本学術集会の運営にご協力をいただいた東芝メディカルシステムズ(株)様、(株)真下医療経営様、東洋レヂン(株)様、コニカミノルタジャパン(株)様、セイリン株式会社様、MSKメディカルサポート(株)様、日本シグマックス(株)様、を始めとする、全ての関係者の方々へ、この場を使い感謝の意を表させていただきます。
筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では、今回のような学術集会を始めとする場で痛み、筋膜性疼痛症候群に対する理解を深め、治療技術の発展の為、ともに研究を行う治療者、研究者を募集しています。詳細は入会についてを参照願います。
なお、本学術集会の内容は、会員は会員コミュニティページより動画で視聴できます。