筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では2016年11月26日土曜日、27日日曜日に大阪 梅田にて第18回 学術集会を開催しました。
今回の学術集会は、メインテーマを『下肢痛の“発痛源評価の標準化”と治療技術交流による多職種連携を目指して』として開催されました。
一日目の司会は今回の学術集会世話人の銭田治療院千種駅前 銭田良博 先生(理学療法士,鍼灸師)となります。
二日目最初のセッションは弘前大学医学部附属病院 総合診療部, 金沢大学機能解剖学分野 小林 只 先生から、Fasciaに関するレビューが行われました。
今回も、学術集会へ初参加となる多数の会員がおり、その先生方を主な対象にMPSの概念から「Fascia」「リリース」「癒着」など、多くの医療者に誤解されている用語の適切な理解を促すための説明がありました。
最初のセッションは、国立病院機構奈良医療センター 整形外科 谷掛洋平先生による講演『膝関節疾患の発痛源評価と治療的診断について』からスタートとなります。
この講演では、変形性膝関節症に対する従来の整形外科的治療法(保存療法から手術療法まで)の有効性と限界、そして、エコーとFasciaへの理解が進むことへの、統合的な治療方法の発展などについて、興味深い説明がありました。
続くセッションは、帝京大学医学部附属病院整形外科 帝京大学スポーツ医科学センター 笹原 潤先生(MPS研究会会員・医師)の講演『足関節疾患の発痛源評価と治療的診断について』が行われました。
この講演の中では、アキレス損傷後の筋・結合組織の癒着に対して、エコーの活用とFasciaへの深い理解のもとに践した超積極的保存療法など興味深い説明がありました。
二日目の司会は今回の学術集会副世話人の滋賀医科大学附属病院 学際的痛み治療センター 辻村 陵行先生(理学療法士)となります。
続いて以下2件の症例発表がありました。
最初の症例発表は、増田医院 院長 増田 和人 先生による「当院における(浅)筋膜リリースの実際」です。
この発表の中では、浅筋膜の構造説明やアナトミートレインを利用したトリガーポイント注射、筋膜マニュピュレーションなどの実例やその治療結果紹介がありました。
続く症例発表は、銭田治療院千種駅前 銭田良博 先生(理学療法士,鍼灸師)による「バスケット歴45年の変形性膝関節症(女性)に対する発痛源評価&鍼治療&運動療法」です。
この発表の中では、バスケット歴45年、変形性膝関節症と診断されている女性に対して、エコーを利用した鍼治療、徒手療法を実施した経過、結果の紹介がありました。
二日目の最後のセッションは「下肢痛に対する発痛源評価(臨床的触診を含む)&エコー実技」となります
エコー勉強会の最初は、よしだ整形外科吉田眞一院長(医師)によるショートレクチャー「仙腸関節障害の疼痛と痺れ」です。
この発表の中では、鼡頚部から大腿前面までの疼痛、痺れのメカニズムから、それらにしてリリース注射治療をした結果の紹介がありました。
続くレクチャーは、 木村ペインクリニック 院長 木村 裕明 先生による「下肢への関連痛に対するFasciaリリース」です。
この発表の中では、下肢痛の起きる原因、下肢痛に対するエコーを用いた診断方法、各部位毎のFasciaリリースの手法などについて説明がありました。
今回の学術集会では、メインテーマ『下肢痛の“発痛源評価の標準化”と治療技術交流による多職種連携を目指して』の通り、下肢痛に着目した発痛源評価に関する標準化について、職種を越えて深い議論をすることができました。
今後も本研究会を通して、今回のようにより深い情報交換を行うことにより、筋膜性疼痛症候群(MPS)のより詳細な原因、症状、治療方法の研究に寄与してゆく所存です。
本学術集会の運営にご協力をいただいた愛知電子工業(株)様,東芝メディカルシステムズ(株)様、東洋レヂン(株)様、コニカミノルタジャパン(株)様、セイリン株式会社様、MSKメディカルサポート(株)様、日本シグマックス(株)様、を始めとする、全ての関係者の方々へ、この場を使い感謝の意を表させていただきます。
筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では、今回のような学術集会を始めとする場で痛み、筋膜性疼痛症候群に対する理解を深め、治療技術の発展の為、ともに研究を行う治療者、研究者を募集しています。詳細は入会についてを参照願います。
なお、本学術集会の内容は、会員は会員コミュニティページより動画で視聴できます。